※2014年10月1日よりお店の場所が少し移転しました
『服を作ることができるコワーキングスペース───』
そう聞いて僕はとてもワクワクしました。
けど、裁縫なんて小学校の家庭科くらいしか経験したことない人には、それが何なのかイメージし難いかもしれません。
イメージするとしたら『クッキングスタジオ』
料理するための設備や道具は揃っていて、食材を持ち込んだら後は思う存分、“美味しんぼ”ないし“クッキングパパ”を目指す・・・。
今回は6月に新たにオープンしたcoromoza(衣座)の様子をお伝えします。
アクセス
コワーキングスペース“coromoza”は原宿・明治神宮前交差点に位置します。
新緑鮮やかな街路樹。表参道から代々木公園を抜けるこの通りは6月初めの頃が一番キラキラしてますね
以前はGAPのフラッグシップショップがこの交差点の象徴でした。今は東急プラザ原宿がアイコン的存在です。
coromozaはラコステショップの2階。
このときはまだプレートに名前は刻まれてなかったですが201号です。奥の階段を登ってすぐのドアにIN
全体写真と見取図
全体的に広々としたスペースで窓からは神宮前交差点を見通せます。反対側は建物が隣接せず開けているので圧迫感がなく開放的。
入り口からの全体写真
窓側から明治神宮前交差点を望む
交差点との反対側の窓
店舗内見取図
設備、各ミシンの紹介
「服も作れる」ということで、実際の服作りの手順に沿って 作業には欠かせない各アイテム(設備)を紹介。
【机】
服を作る上で疎かにできないのが机です。広いデスクスペースは仕事のやりやすさを左右します。coromozaでは天板と脚部分に分けて作業に応じてデスクを拡張できます。
【PC】
パターンをCADで引いたり、ハンドで引いたパターンをスキャンしてデータ化する、仕様書、マーキング図を作成したりと、服作りをする上でPCを活用できると言わずもがな大変便利です。coromozaではiMac2台が自由に使えるようです。詳しいPC環境は補足を参照→
【プロッタ】
パターンを出力(印刷)するプリンターです。
アパレル業界ではパターンを出力するプリンタを「プロッタ」と呼んでいます。多く見受けられるタイプがカッティングプロッタといって、パターン線を引いてから縫代を含めてカッティングしてくれるものです。
coromozaのプロッタはカッティング機能はついてないですが、これ一台でスキャニング、コピー (青焼き)、プロッタと3役をこなせるタイプです。
【アイロン】
アイロンはナオモトのバキュームアイロン。
少し型番が古いですが、個人でバキュームアイロンを持つのもなかなか難しいですし、十分だと思います。
【ミシン】
最後はミシン。
職業用と家庭用、ロックミシンが揃っているので縫うには困らないです。家庭用ミシンは直線縫いの性能は職業用ミシンに劣りますが、ジグザグ縫いなどたまに必要を迫られる仕様があるのであると嬉しいですね。ロックミシンは4本糸2本針なので、カットソー作りにも使えます。
ミシン ラインナップ
そのほかのスペース
【撮影エリア】
作った衣装や小物など写真撮影するための専用スペース。
ファッションに限らず、食べ物や素材の物撮りなどの利用者も多く人気のスペースです。
【本棚】
ファッションに関係する書籍をセレクトした本棚。利用者は自由に閲覧&購入か可能。ビジュアルの本がメインだと思ったら純文学など小説がメインでした。
【収納BOX】
洋裁道具や製作過程の衣装を保管しておきたいという人のための保管ボックス。
【購買シェルフ】
coromozaで作ったものを置いて販売できる棚。今後どうなるのか面白い試み。ミシン糸は販売しているのではなく自前で持ってくるのを忘れた人に有料で貸し出す用。
【プライベート ワーキングスペース】
秘密裏に作業したい方のための個室作業スペース。
追記 : 布プリンターとレーザーカッター
8月に布プリンターとレーザーカッターが導入されたと聞いたので見に行ってきました。
「何か画像があれば試しますよ」ということで本サイトのアイコンにしてる糸巻きをプリントしてみることに。
おおー、しっかりプリントできてます。
画像形式がPNGで背景透過は強制的に黒くなってしまうみたい。だいたいの画像形式に対応していますが印刷する場合はTIFFが望ましいとのことです。
目の粗い生地でも問題なく発色よくプリント可能。
オリジナル柄を簡単に作成できる「4D BOX」も導入されています。好きな色を選んで順番や線の太さを自由に変えてオリジナルチェックなども作成可能です。
4Dbox News
TEXTILE、先染柄制作の為のツール。豊富な組織と選べる糸形状、オリジナルの先染めシミュレーションをすばやく効率的に仕上げることが出来ます。ライブラリには豊富なデータが用意され初めての操作でも即時使用することが出来ます。
こちらがレーザーカッター。FabCafeに置いてあるものと同じもの。イラストレーターなどで作成したベクトルデータを入力してレーザー光線で出力します。
アクリル板からボタンを作るところを実演して頂きました。レーザーで焼き切っている様子。
右手前がアクリル板からくり抜いたもの。真ん中・左奥は木材板から同じ柄でくり抜いたもの。
レーザーが可能な素材は、紙、皮革、木材、アクリル、布と多岐にわたっています。
個人レベルでこのような専門的な機材での工作ができるのはとても驚きです。
まとめ 服作りは敷居が高いのか
服を作れるワーキングスペースはcoromoza以外にも街の裁縫教室など多数見られる。しかしPCワークやプロッタ、撮影ブースなど一つの場所に集約させたのはcoromozaが初めてだろう。ここに行けば不備なく仕事ができる環境が整っている。
ただ服作りに興味を持ったビギナーにはなんでも出来るが故、少し敷居が高いと感じた。
例えば、料理を学びたいと思った人が行くクッキング教室は、精通した講師がいてこそ、そこにあるプロ用設備を活用して調理方法を学ぶことができる。 僕の例をとると、意気込んで巷のコワーキングスペースに行っても、Webスキルが無いのでググってコピペしてどうにかするのが関の山である。
コワーキングスペースは“スキル”があって、初めて活用できる大前提があるのだ。
設備が揃っているから何とかなるか、と希望的観測を抱いて行っても時間とお金が消費されるだけで満足いく結果にはならないかもしれない。
そうかと言って、町の裁縫教室に言って、思わず着たくなるような感度良い服が作れるか、といったら教える人の感性に依存されるし・・・(手作りテイストが出ちゃってなんだかなぁ・・・)
そうこう考えてると、初心者が服作りをすること自体ハードルが高くて悩んでしまう・・・
でも音楽や映像、Webなどどれも初心者にとってはハードルが高い。けど独学でなんとかカタチにするにはそこに本人の情熱があるからに他ならない。(明治大学生が創刊したファッションマガジン“N magazine”なども)
そして、ファッション・服作りに携わる人達が集まるきっかけの場としてcoromozaがどういうコミュニティを発展させていくかとても楽しみです。今回は取材させて頂きありがとうございました。新しいストリームが生まれることを期待しています。
coromoza | コロモザは服も作れるコワーキングスペースです。ファッションの中心、原宿から新しいファッションの文化を生み出していきます。
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